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【院長ブログ】手洗い・マスクに加えて、口腔ケア!?

ウイルスと歯周病の関係
2019年末に中国で感染が確認されて以降、世界的な拡大を続けた新型コロナウイルス感染症。2021年6月末時点で、世界では1億8000万人以上が感染し、400万人近い命が失われました。
感染症対策として「手洗い」「マスク」「うがい」は広く定着しましたが、近年あらためて注目されているのが口腔ケアとウイルス感染症の関係です。
歯周病が原因でウイルスが体内に侵入しやすくなる?
口腔内の粘膜は、ウイルスが体内に入り込むのを防ぐ最初の防御壁です。
しかし、歯周病や虫歯があり、口の中の細菌が増えている状態では、この防御機能が低下する可能性があります。
歯周病菌は「プロテアーゼ」というタンパク質分解酵素を産生します。この酵素には口腔内粘膜を傷つける作用があるとされ、粘膜のバリア機能が弱まることで、ウイルスが吸着しやすくなり、体内へ侵入しやすくなると考えられています。
実際に、歯周病や口腔内細菌が多い人はインフルエンザウイルスに感染しやすいことが、複数の研究で報告されています。
ウイルス予防に口腔ケアは有効?
歯磨きなどの口腔ケアが、インフルエンザウイルスの感染リスクを下げることは明らかにされています(日本歯科医師会報告)。
新型コロナウイルスへの直接的な効果については、現在も検証が続いており確定的な結論は出ていません。しかし、口腔内の細菌(歯周病菌や虫歯菌)を減らし、口腔環境を整えることにデメリットはありません。
口腔粘膜という防御壁を健全に保つためにも、日常的な口腔ケアは重要です。
口腔ケアには
・毎日の歯磨きなどのセルフケア
・歯科医院で歯石やバイオフィルムを除去するプロフェッショナルケア
の2つがあります。
両方を継続することが理想的です。
唾液の効用
唾液は約99%が水分ですが、残り1%に100種類以上の成分が含まれています。その中には抗菌・抗ウイルス作用をもつ免疫物質が存在します。
特に重要なのが、唾液中のIgA(免疫グロブリンA)という抗体です。IgAは口や喉の粘膜表面でウイルスの侵入を防ぐ役割を担っています。
唾液分泌が低下すると、呼吸器感染症にかかりやすくなることが知られています。つまり、唾液は天然の防御液ともいえる存在です。
歯科の観点からできる対策と予防
感染症対策として、歯科領域からできることは大きく3つあります。
❶ 口腔細菌を減らす
歯周病菌などを増やさないよう、セルフケアとプロフェッショナルケアを徹底し、口腔内細菌を減らします。
❷ 唾液量を増やす
舌や口周囲の筋肉を動かす、よく噛む習慣を持つことで唾液分泌を促します。唾液の量と質を保つことが重要です。
❸ 鼻呼吸を意識する
マスク生活が長引く中、無意識の口呼吸が増えていると言われています。口呼吸は口腔内を乾燥させ、唾液量を減らします。
マスクを着用していても、口を開けたままでは口腔内は乾燥します。鼻呼吸を意識し、口を閉じる習慣をつけましょう。
感染症対策は「手洗い」「マスク」だけではありません。口腔内は、ウイルスが体内へ侵入する最前線です。歯周病の予防、唾液の維持、鼻呼吸の習慣化など、日々の小さな意識が、体を守る大きな力になります。手洗い・うがいに加えて、口腔ケアも今日からあらためて見直してみてはいかがでしょうか。






